クリエイティブ・アーツセラピーとは

クリエイティブ・アーツ・セラピー(以下CAT)とは、諸芸術を治療や支援に意図的に用いる諸芸術療法の総称です。主なものには、アートセラピー、ダンス/ムーブメントセラピー、ドラマセラピー、ミュージックセラピー、表現アーツセラピーなどがあります。CATは、人が本来持つ創造性を生かすことで自己治癒力を高め、より豊かに、そしてより健やかに生きることを目指します。 

 CATの主な目的として、心身の不調やさまざまな障がいの回復、機能の維持や改善、ストレスの緩和や予防、リラクゼーションの促進、モチベーションや生活の質の向上、行動の変容、自己洞察の深化、その他、自尊心や自己肯定感、主体性や柔軟性、創造力や表現力の向上などがあげられます。

CATは誰もが持つ創造性を活かすことにより、性別・年齢・障害を問わず、あらゆる対象者の自己成長や自己実現を目指し、医療・福祉・教育・心理・司法・産業の分野で幅広く柔軟に適用されます。欧米では大学院レベル以上の教育機関でトレーニングを積んだ専門家が様々な分野で活動しています。

 

***

 

アートセラピー

対象者の目的やニーズに合わせて平面や立体の作品制作など、様々な画材や手法を用いる心理療法です。
創作過程そのものにある治癒的な側面を生かし、感情の昇華や自己達成感の獲得などを目的とすることもあれば、アートという非言語的な表現を介して表面化される無意識の感情や葛藤を、アートセラピストと振り返ることで自己洞察や自己対峙を促していくこともあります。アートセラピーの場ではアートの技術や経験は求められません。

 

ミュージックセラピー

音や音楽のもつ表現力やコミュニケーション力を活用し、人間に対し全人的(身体的・心理的・霊的・社会的)に働きかけることで、心身の健康維持・促進・回復をめざします。音楽の様々な形態(歌唱、演奏、即興、作曲、鑑賞など)を臨床目標に沿って体系的に用いる心理療法として対象者のもつ潜在力にも働きかけることでウェルビーイングな状態をめざします。

 

ドラマセラピー

演劇的な手法や劇創造のプロセスを、対象者や目的、状況に合わせて使い分けながら、心身の健康をめざします。子どもがごっこ遊びで学び癒されるように、「もし・・だったら」を保証する演劇空間の中で、想像力や創造性、自発性を育み、感情を解放していきます。役割体験やイメージの体現化、物語ることなどを通して新たな行動や視点を獲得し、自分についての理解を深めていきます。

 

ダンス/ムーブメントセラピー

からだの感覚、内なるリズム、自発的な動きなどを用いて、対象者のニーズに即した手法で感情や意味を探索する心理療法です。こころの状態はからだに映し出され、からだの動きはこころに変化をもたらします。ダンスは感情の解放とそれを抱える器となり、イメージを介して象徴的理解をもたらし、他者との関係性を直接的に体験させてくれます。内的世界の具現化を通して、その人らしい存在のありようを育んでいきます。

 

表現アーツセラピー

表現アーツセラピーは、絵画造形、音楽、ダンス/ムーブメント、ドラマ、文芸などの創作芸術を統合的に使った心理療法で、作品に注目するのではなく 創作過程そのものに焦点をあて、五感を重視した活動中心型セラピーです。また、様々な創作表現を通してのイマジネーションの探求が体、感情、思考などへの気づきを深めることを目標としています。