【コラム】バンクーバーのがん患者サポートのかたち

バンクーバーにカラニッシュソサエティー(Callanish Society )という団体があり、彼らは長年に渡り癌を患う方々やその家族へのサポートを行っています。

私はバンクーバーアートセラピーインスティチュートでアートセラピーを学びましたが、その学校の講師がここでアートセラピーのプログラムを担当していました(現在休止中)。そのリトリートの話を聞いた時、またその映像を見た時に、日本でもこのような形のサポートが広まれば素敵だな、と思い今回紹介させていただこうと思いました。

【カラニッシュソサエティとは】

カラニッシュソサエティは20年以上に渡り、リトリートを行ってきました。1995年に多岐にわたる専門家のボランティアの方々によって最初のリトリートが行われました。1997年から年に4回のリトリートを行い、また2004年にはバンクーバーに一軒家のスペースをオープンしました。

【リトリートとは】

リトリートとは、日常生活から離れ、自分自身と向かい合う時間を過ごすというような意味合いがあります。カラニッシュのリトリートは今でも、春夏秋冬の各季節で1回づつ。山の中のロッジで8名が5泊の宿泊を通して、個人の振り返り、コミュニティとの繋がり、人生との繋がりを体験します。

参加者をサポートするチームは、医師、カウンセラー、音楽家、ソングライター、マッサージセラピスト、ヨガや気功の講師、調理師やボランティアの方々がいます。リトリート中のアートセラピーの時間では、死というテーマも扱ったそうです。死が身近な参加者にとって意味深い体験になったと思います。そして、そのような重いテーマにも参加者が安心して取り組めるように、専門家のチームが組まれていることは素晴らしいと思いました。

リトリートの雰囲気を見てみたい方は、「I’M STILL HEREという映画がホームページ上にあるので、是非ご覧下さい(英語のみ)。

【バンクーバーホームについて】

バンクーバーホームには、カウンセリングや瞑想など豊富なプログラムがあります。

学生時代、授業の一環として、クラスでバンクーバーホームに行き、1日体験型の授業をそこでうけました。住宅街に普通の一軒家として軒を連ねていますが、緑の多い玄関口は森の中の隠れ家といった雰囲気を醸し出していました。中は開放感のある造りで、箱庭用の部屋は壁一面におもちゃが並んでいました。アートスタジオも棚に豊富な画材が並んでいて、見るだけでワクワクしました。クラスメイトと一緒に箱庭をして、キッチンでお昼ご飯を用意して、アートして、昼寝して(授業です。)、数ある授業の中でもとても思い出深い一日になりました。

リトリートやバンクーバーホームは、どちらも見た目にも魅力的で整えられた環境ですが、一番の魅力は他職種の専門家たちが協力し合い、クライアントの為に尽力するかたちを続けられていることではないかと思います。癌に向き合う方々に、音楽やヨガなど身体的また精神的なアプローチで創造的な体験を提供すると共に、そこに医師やカウンセラーがいることで危機に対応できるようにしておくのは大事なことではないでしょうか。

また、コックさんが作るごはんもとても美味しそうでした。

 

詳細をご覧になりたい方は是非ホームページをご覧下さい。

Callanish Society(英語のみ)

奥山裕子(CATAアートセラピスト)